前回は、
- スーパートコジラミ=ピレスロイド系殺虫剤が効き難いトコジラミ
- ピレスロイドは、除虫菊(シロバナムシヨケギク)に含まれている成分
- 殺虫剤のほとんどに、ピレスロイドが含まれている
という話をご紹介しました。
今回は「耐性」についてです。
タイトルにも書いたとおり、「耐性」は、地球上の全ての生物が持っている能力。
ただし、耐性を得るためには、多くの犠牲と世代交代が必要なんです。
つまり、耐性を得るというのは、時間がかかることなんですね。
しかし、沢山の子を産みさらに1世代の命が短い種類ならどうでしょう?
そう、トコジラミなどの虫は、人間から見ると短い期間で耐性を得ることが出来るのです。
トコジラミの成虫の寿命は27℃で3~4ヶ月ですが、気温が下がればもっとのびます。
最長で1年半ほど。
その間に、沢山の卵を産みます。
多くの卵から孵った固体の中に、「ピレスロイドに若干耐性があるという特徴を持った個体」が産まれることがあるのです。
遺伝子のいたずらともいえる、偶発的な産物ですね。
このような固体は、ピレスロイド系の殺虫剤を使っても死にません。生き残ります。
子は親に似る可能性が高い!
ここで、少しだけ進化論の話をしましょう。
チャールズ・ダーウィン(1809~1882)による「種の起源」の中には「自然選択」という説があります。
これは、「子供は親の能力や性質を引き継いで、さらにそれを遺伝子として子孫に伝える」というもの。
トコジラミの話にあてはめると
ピレスロイドに耐性を持つ親から生まれた子供は、親が持っていたピレスロイドへの耐性を引き継いで、さらにピレスロイドへの耐性を遺伝子として子孫に伝える
ということになります。
これが何度も繰り返されると、
- ピレスロイドに耐性のないトコジラミは死に絶える
- ピレスロイドに耐性のあるトコジラミだけが繁殖する
⇒スーパートコジラミだけが増え続けるという結果になります。
この話は、何もトコジラミに限ったことではありません。
例えば…
- ゴキブリの殺虫剤⇒年々強力なものが必要になる傾向があります
- ネズミ用殺そ剤⇒長年使用されていた成分(ワルファレン)はもうほとんど効果が見られません
- 院内感染を引き起こした「抗生物質耐性黄色ブドウ球菌」⇒病院内での抗生物質乱用が原因とも言われています
このように書くと、なにやら終末的な世界が訪れたように感じてしまいますね。
しかし、そんなことはありません。
勿論、薬品の乱用は避けなけばならないでしょう。
耐性を持ってしまった成分の殺虫剤使用は、その環境では控えるべきだと思います。
また害虫に限らず、生物はその環境に合わせて日々少しずつ変化(進化)していきます。
ですから、むやみに濃度の濃い薬剤を使うのではなく、その成分や濃度を環境にあわせて使用していくことが大切なのです。
トコジラミにピレスロイド系の薬剤が効き難いのは事実です。
ですが、ピレスロイド系に代わる成分の薬剤はきちんと存在します。
それらを的確にチョイスし、正しい濃度・散布量で使用するのが、私達駆除業者の役目なのです。
トコジラミでお困りの際は、ぜひ弊社にご連絡ください。